日本には古くから「衣食住」という表現があります。
なぜ「衣」という字が先頭にあるかというと、人間が生まれたとき、一番最初に必要なのが、衣類によって体温調節を図ることだから、だそうです。
大切な身体を「衣で包むこと」というのは、とても重要なことだということが分かります。
その洋服を着ると、どんな心地になるか?
身体がどんな風に感じるか?
ということに注目してみると、洋服を選ぶ基準が、ちょっとだけ変わってきます。
現在、「化学染料」でつくられた洋服を着ることはごく当たり前なことになっていますが、化学薬品を使うことによって健康被害が生まれる、という現実から目を背けることはできません。
自分が毎日「何を食べるか」について考えるように、「何を着るか」ということに対して、「身体に優しいもの」について考える意識を持つと、日本の伝統でもある草木染めが、とても安全性が高く、自然や人間の身体に優しいことに気づきます。
化学染料ができたのは、約160年前と言われています。
色が安定している・安価である・色が強い、などのメリットがあり、大量生産には大変向いていました。
しかし時代が変わり、ものがだんだん売れなくなっている今、「本当に良いもの」としての草木染めの価値が、見直され始めています。
草木染めの魅力的なところは、使う植物によって「薬効」があると言われていることです。
有名なのは藍染めの抗菌、虫除け作用。
そして茜は滋養強壮や抗菌作用、栗染めは皮膚病に効くとされてきました。
これは東洋医学にも通じるものです。
いくつかの植物と、その「薬効」について、ご紹介します。
アカネ科のつる性多年生植物。古くから浄血の花と言われ、婦人病や神経痛の女性の下着の染色に使用されてきました。また、血行促進効果や保温性、リラックス効果があるとも言われ、女性だけでなく多くの人々に愛されてきた植物です。ピンクやオレンジに染まります。
マリーゴールド染め (若返りのハーブ)
キク科コウオウソウ属のお花。聖母マリアの黄金の花という意味を持つ。
古代エジプトでは若返りの妙薬でした。またインドのヒンドゥー教徒は祭壇をこの花でかざります。
17世紀には様々な病気に効く万能薬として使用されていました。ハーブティーなどでも人気で、排毒・血液促進・消化促進などに効くと言われています。イエローに染まります。
ログウッド染め (スピリチュアル・パワー)
ブラッドウッド「血の木」。アステカのマヤ族が伝統的に使っていた聖なる木で、邪気を払うと言われています。軍服や着物などの衣類だけではなく革や木材の染料としても使用されてきました。また、青く染まる色素「ヘマトキシリン」は、医療の現場でも組織細胞を染めるために使用されています。紺色やパープルに染まります。
自分の体調や気分などに合わせて、自然のパワーを利用しながら色をコーディネートしてみるのも楽しいかもしれません。
そして草木染めの最大の魅力は、なんといってもその「色合い」にあります。
染め上がった色は、「自然」そのものなので、目にも優しく、人工的な感じが一切しません。
色が落ちやすいことを残念に思うことがあるかもしれませんが、季節が移りゆくように、自然に少しずつ色が落ちてゆくその過程をも楽しむ心は、日々の豊かさにも通じるようです。これらを含めて「草木染め」の魅力なのだと思います。
色が落ちたら、また自分で染める。
そうすると、大切な洋服を、丁寧に長く着ていくことができます。
ユザワヤや百貨店などで売っている市販の染料を使うと、簡単に自分の洋服を染めることができます。
色は多種類ありますが、自分で色を混ぜて、好きな色を作ることもできるそうです。
毎日の生活にプラスする豊かなものとして、ぜひ草木染めを楽しんでみてください。
情報・画像提供 Liv:ra オフィシャルサイトより https://www.liv-ra.com