近年、いかに女性が活躍できる社会を構築することができるか、世界中で重要視されています。その一方で、いまだ多くの課題が残っているのも事実です。
特に元内戦地域では、トラウマや教育不足などが要因となり、女性の精神的・経済的自立が難しいといわれています。グローバル化や技術の進歩に伴い、世界との距離がどんどん近くなっている今、他国の問題に無関心ではいられなくなっている方も多いのではないでしょうか…
同時に、何か解決に貢献したくても自分に何ができるか分からない、という悩みを抱えている方も多くいるように感じます。
そんな中、今回ご紹介させて頂くのは、ファッションを通じて元内戦地域の女性たちが持続的に活躍できる場を作る「gnadaa Japan」。
オリジナリティに溢れる可愛らしいデザインの刺繍が施されており、魅力が詰まった商品を数多く展開しています。自分の好きなモノを購入することで、誰かの役に立つことが出来る。そんな風に考えると、自分にも、社会にとっても役立つお買いものをすることができますよね!
それでは、立ち上げの経緯や1つひとつの商品、ファッションに込める想いをご紹介していきます!
Gnadaa (ナダァー)は元内戦地域の女性たちが、「働く」を社会で実現できるよう立ち上がった「ソーシャル・ファッション」プロジェクト。
この名前はスリランカ・タミル語で「歩く」という意味を持つことに由来しています。
プロジェクトが始まる前、Gnadaa Japan代表であるカクチ・スベンドリニさんは、スリランカの元内戦地域トリンコマリーを訪れました。
荒れ果てた大地のなか、赤やブルー、サフランイエローの鮮やかなサリーを身につけ、壊れた道路を、子どもを抱き、ほこりだらけになりながら歩く女性たち。瓦礫や破壊のなかであっても、生きぬくための決意と勇気を抱き、美しい色を身につけ必死に生きているその姿を見た時、とても強いメッセージを感じたといいます。
その後、家庭のために受け継がれてきた裁縫技術を仕事にすることを通して、元内戦地域の女性たちが持続的に活躍できること、そして彼女たちの作品が世界に通用することを目指し、Gnadaaが立ち上げられました。
トリンコマリーの女性たちは、イエズス会の庭園に囲まれた裁縫センターで働いています。裁縫センターは女性たち自身で管理しており、家族の都合や締め切りに間に合うように予定を立て、その日の仕事量に応じて早朝から午後まで働きます。
コロナ禍によって町が封鎖した際には、グループに分かれて週2日、裁縫センターに集まり家で作業することもあったといいます。
Gnadaaはさらに、日本社会にも彼女たちの現状を伝え、若者やデザイナー、専門家との協働の場を生み出し、平和な世界を創ることを目標に掲げています。
Gnadaa Japanが掲げている「ソーシャル・ファッション」は以下5つの項目から成ります。
・世界を平和な場所にするために製品をデザインし、製作すること。
・貧困と戦う女性製作者たちと裕福な社会にいる購入者の国際的な架け橋となるために、製品をデザインし、製作すること。
・富を公平に分かち合うために製品をデザインし、製作すること。
・女性製作者たちの重労働に敬意を払うために、製品をデザインし、製作すること。
・製品を使われる方のインナービューティーを目指すために、製品をデザインし、製作すること。
こちらは、女性がお寺に行くときに髪に飾る摘みたてのお花をモチーフにした「テンプルローズの刺繍」。
女性たちが生活の場にあるものを自由にデザインすることから生まれた「クルミボタン」、“ヤモリの鳴き声は人を守る”という言い伝えを基にした「ヤモリチャーム」をはじめ、美しい海岸の風に揺れる「トリンコマリーの風」というピアス・イヤリングやブロックプリントに刺しゅうの入ったエコバック、大胆な刺しゅう入りのブックカバーなど、トリンコマリーの女性だからこそ作ることが出来る商品がたくさん並んでいます。最近では時代に合わせてマスクケースの販売も始めたといいます!
Gnadaa Japanは、「ファッション」そのものに、敬意を表しているといいます。ファッションを、最新の流行ではなく、自分のアイデンティティを表現するものだと捉えているそうです!
ぜひ皆さんも「Gnadaa」を生産者に思いを馳せたサステナブルな暮らしをしてみてはいかがでしょうか。
【公式ホームページ】
【Gnadaa公式インスタグラム】
https://www.instagram.com/gnadaajapan/
by 日向 葵
立命館アジア太平洋大学 1年