【対談インタビュー】小森優美(前編)「大切なのは、自然のままに生きること。〜ファッションブランド Liv:ra(リブラ)ができるまで〜」

この対談インタビューのコーナーは、様々なクリエイターや活動家の方が、これまでどういう人生を送り、なぜエシカルやサステナブルなことに興味を持ったのかということに焦点をあてながらインタビューをしていく連載記事です。 

今回は小森優美さんにインタビューしました!

優美さんは、TSUNAGU、FLAT.のリーダーでもあり、ファッションブランド「Liv:ra(リブラ)」のデザイナー、それから経営者としての顔もあります。 私は、一目見たときからリブラのファンになってしまったのですが、優美さんがブランドを立ち上げるまでのストーリーにとても興味が湧きました。 

*写真は、リブラ初期の頃の作品

水晶:今日をとても楽しみにしていました。優美さんが、これまでどんな人生を送ってきたのか、たくさんお話を聞いてみたいです。 

優美:よろしくお願いします。

水晶:プロフィールを見ると、2013年に『Liv:ra(リブラ)』を立ち上げたそうですが、その前はファストファッションに携わっていたとか。 

優美:うん。最初は新卒で大阪のファストファッション会社に就職したんだけど、ここがわたしのデザイナーの原点。 

水晶:とても有名なブランドですよね。 

 

デザイナーをやりながら、廃棄処分する洋服の数に衝撃を受けた 

優美:当時その会社はファストファッションの先駆けで、急成長している企業だったんだけど、Tシャツは1デザインにつき、2万枚くらいオーダーしていた。 

そこから、すごく大雑把に説明すると、だいたい70%売れたら合格ラインで、残りの30%は廃棄する可能性がある。それを理解しながらつくってたんだけど、たとえばTシャツが2万枚だと、廃棄分が6000枚になる。その数が、ちょっと衝撃だったんよね。 

水晶:本当に衝撃です。でもその当時って、それが今よりもずっと「当たり前」な雰囲気で、そういう風に感じられる人って、少なかったのでは?

優美:そうそう。当たり前で、そう感じる人は少なかったし、私自身も「こんなもんなのかな」って思ってた。びっくりはしたけど。 

水晶:そうですよね。会社はどうでした?

優美:それが、全然楽しくなかった。(笑)社員の子たちとは普通に仲が良かったけど、一番嫌だったのは会社の上下関係。ギャルブランドだから、上司はギャルなんだけど(笑)、わりと上司の気まぐれで残っておかないといけなかったりする。明らかに何もなくても「何か仕事ありますか?」って聞いてからでないと帰ったらダメみたいな。 

水晶:なんだか、厳しそう・・・?

優美:ただなんとなくで、みんなが残業することに、意味を感じなくって。従う理由もよくわからなくて、反抗的な態度をしていたと思う。ちゃんと仕事はやるけど、変だし言うことは聞かないから、ややこしいやつだったはず。(笑) 

水晶:かっこいい!そういうところに、優美さんの魅力を感じる!

優美:いや、全然かっこよくない!(笑) 

 

新しいものを一からつくり、立ちあげることの経験を積んだ時代

水晶:今の優美さんと、その頃の優美さんとの違いはありますか?

優美:うん、今と昔では、全然違うかな。昔は、やっぱり世の中に対して反抗してた。納得が出来ない事が多く、自分の思い通りにならないと反抗する暴れん坊だった。 あと、何か自分の軸になるようなものがないと、すごく快楽主義になってしまうというか。 

水晶:私もそうかもしれない。結構、暴れん坊出身なので。(笑) 

優美:そうなのかな。水晶ちゃんには歌があるけど、当時の私は自分に何もなかった。 好きな服でもなかったし、やりたいことをやってる感覚もないから、そのフラストレーションを遊びにぶつけていて。相当遊びに人生を注いでいたと思う。 

水晶:そこに勤めたのは何年くらいですか? 

優美:1年半くらい。 そのあと、商社の子会社に新規事業開発室ができて、そこにスカウトされて。その会社の中で、新しいブランドを立ち上げる部署は楽しそうだと思った。 

その会社は今はもうない会社なんだけど、主にライセンス事業で、海外有名ブランドの名前を借りながら、日本用の新しい商品を一からつくる会社だった。 

水晶:内容はどういったことをやるんですか?

優美:始めの会社はデザイナーだったんけど、新規事業開発室は、人が足りなくて色々やらないといけなくて。 バイイング(買い付け)も、MD(マーチャンダイジング)的な事も・・・。 この経験が、自分が何か新しいものをつくって立ち上げるっていうことの、土台になったと思う。 

水晶:なるほど。 

優美:とは言っても、私は相変わらず色々な事に納得がいかなかったから、すねたり、怒ったり、納得がいかない事には「違うと思う」って言ったりしていて、その仕事も結局1年半くらいだったかな。そこで働きながら、自分でアクセサリーをつくり、セレクトショップに卸したりしていたんだけど、そのアクセサリーを見て、友達が「一緒にブランドやろう」って言ってくれて、 そのタイミングで会社をやめて、その人たちと一緒に1年くらいやったんだけど、それも結局うまくいかなくて。 

水晶:今の優美さんを考えると、その頃の話はとっても貴重な話だと思います。 

 

様々な経験を積んだあと、2010年に会社を立ち上げる 

水晶:会社をつくるってすごいですよね。 

優美:すごいのかな。私の場合は、必要に迫られたというか、友達とのブランドの仕事をいきなり切られちゃったから、どうしようってなって。今さら会社員に戻れないなって思って立ち上げたみたいな感じだから。 

水晶:次のステップとして、残された道ってことか。 

優美:もしかしたら他にも選択肢があったのかもしれないけど、当時はそれしか考えられなかった。 

水晶:でも、すごいですね。2010年かぁ・・・震災前ですね。 

優美:うん、2010年の4月に独立して、そこからは、楽天とかYahoo!とかの通販で洋服を売る仕事をやってて。でもその頃もまだ、ファストファッションのやり方でやってた。 

水晶:立ち上げたときは、「Liv:ra(リブラ)」だったんですか? 

優美:ううん。まだ全然リブラにはなってなくて、セレクトショップみたいな感じで色々安く仕入れて、売ってた。けど、震災が起こってから考え方が激変して。 

水晶:私もそうでした。震災は本当に衝撃でしたね。 

優美:うん、あれでみんな変わったよね。

会社を立ち上げて、ネットショップを始めた頃の優美さん

 

水晶:なんだか、この約10年の道のりを聞いているだけでも、とても濃い時間を経験されてるんだなって思いました。今、さらっと話してましたけど。 

優美:うん、私はなんか激しいと思う。自分の人生の振り幅が。 

反対側と反対側を経験して、中立になっていくっていうか。結構、普通の人よりも、対極を経験しているなっていうことをよく思う。 

水晶:私の人生も、少し似ている部分があります。優美さんほどの経験はまだまだ積んでないですが、人生の振り幅が大きい。でもだから、すごく尊敬してしまうんだと思いましたね。全然関係ないですけど、私は優美さんの考え方が好きで、いつもツイッターとか、よく見てしまうんですよ。 

優美:嬉しい、ありがとう。きっと、振り幅ってきついのと同時に楽しくもあるんだろうね。もうこれからはいいかなって思うけど。(笑) 

水晶:あぁ〜たしかに!本当にそう思います!(笑)

この続きは、次回の記事に続きます。お楽しみに!!

 

〜プロフィール〜

小森優美

株式会社HighLogic代表取締役/ファッションデザイナー 

東京在住 

1983年5月20日奈良生まれ牡牛座B型。
 2006年大阪モード学園卒。新卒でファストファッション企業のデザイナーとして就職後、 商社系ブランドライセンス事業会社の新規事業開発室に転職、新規ブランド立ち上げの仕事に携わる。2010年独立、株式会社HighLogic設立。
当初はファストファッション通販会社として始めたものの売上至上主義の仕事に疑問を感じ、自然や人、地球と調和したファッションのあり方を模索しながら、2013年草木染めインナーブランド”Liv:ra(リブラ)”開始。
 以後、Liv:raを始め、企業の商品開発、ブランディングなど、エシカルプロダクトデザイナー/ディレクターとして活動する。
趣味は読書、旅、音楽鑑賞。夢は持続可能な社会を創ること。 

 

井上水晶-mia- 音楽家 

1991年福岡生まれ。3才の時クラシックピアノを習い始め、6才より作曲を始める。11才から14才まで父の仕事の都合で中国・北京に暮らす。16才から松任谷正隆氏の勧めで、 シンガーソングライターとして創作活動を始める。音楽を通して社会問題に貢献したいと考え、慶應義塾大学のSFCに入学。2012年6月、東映アニメーション映画『虹色ほたる ~永遠の夏休み~』の劇中歌として、松任谷由実の名曲「水の影」を松任谷正隆プロデュースによりカバー。大学卒業後は、テレビ・ラジオ出演、CMソングの制作、コーラスによるレコーディングセッション、ソニーミュージックの講座「ソニアカ」講師など、様々な音楽経験を積みながら、都内のライブを中心に精力的に活動。2017年7月、ソニーミュージック内のハイレゾ配信専門レーベル『Onebitious Records』より音楽ユニット『ツダミア』としてアーティスト活動を開始。ツダミアでは「100年残る音楽」をテーマにした音楽活動をしている。また、「FLAT.」では、様々なクリエイターや活動家の人々と共にサステナブルな活動を広めていきたいと思っている。 

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