【対談インタビュー】小森優美(後編)「大切なのは、自然のままに生きること。〜ファッションブランド Liv:ra(リブラ)ができるまで〜」 


様々なクリエイターや活動家の方が、これまでどういう人生を送り、なぜエシカルやサステナブルなことに興味を持ったのかということに焦点をあてながら対談インタビューをしていくこのコーナー。 

前回に引き続き、小森優美さんのインタビューをお届けしています!

インタビュー前編はこちらからご覧ください。


セレクトショップの経営で自分を見つめているうちに、「本当に好きなことをやっていきたい」と決心

*写真は、現在のリブラの作品

水晶:「Liv:ra(リブラ)」のコンセプトは、どうやって生まれたのでしょうか?

優美:コンセプトは、少しずつっていう感じかな。その前にやっていたセレクトショップをやっている過程で、とても大切な気づきがあった。

震災当時オーガニックやビーガンに目覚めた私は、とても質の良いものを買うようになったんだけど、その一方で、自分のセレクトショップで売っているものは、1000円とかの下代のものを、倍くらいの価格で売る、っていうことをやっていた。 値段が全てではないけれど、あきらかに搾取から成り立っていることがわかる商品もたくさんあって。そうすると、だんだん、それを買うお客さんのことをリスペクトできなくなってしまった。 

「なんでこんな商品を買うんだろう?」って思いながら、仕事をしていて。 自分が良いと思っていないものを売るっていうのは、どこかで良心が、納得できない部分があって、ちょっと精神的に病んでしまって。 

すると、レビューとかもだんだん荒れてきた。それまでは結構良いレビューの評価をとってたんだけど、どこにでもある商品なのに同じものを売ってても、他社のレビューより、荒れてきてて・・・。 そこでふと気づいた。これは私が納得できないものをイヤイヤ売ってるっていう感情や考え方が表れてるんだと。 

売り上げも下がってきたそのときに、私は「好きなものを売っていかないと、生きていけない」と思った。

 

旅に出て、心を見つめて、誓って、生まれた「Liv:ra(リブラ)」 

優美:当時大阪にいたんだけど、根本的に人生を変えたいと思って、日本各地色んなところを旅した。 熊野に、修験道っていう自然を崇拝する宗教の宿坊みたいなところがあるんだけど、そこに何人かで泊まりに行って、そのときに、そこのお坊さんをはじめそこにいた人たちが、とてもまっすぐ「自分を生きてる」って感じがして。「自分はこうです」って言えることって素晴らしいなって、私もそうなりたいな、って思った。私にはなにもなかったから。 

その次に高知に行って、「唐人駄馬」っていうパワースポットがあるんだけど、太平洋しか見えないその場所で、ぼーっと景色を見ながら、「私はちゃんと洋服で本物と思えるものをつくろう」って誓った。 

水晶:なんか感動してきた・・・。 

優美:そこから、自分が本当に良いと思う「本物」ってなんだろう?ってことを考えて、 私はまず最初に「水」が気になる、と思った。 洋服をつくる上で、水が染料によって汚されてるってことが気になるから、オーガニックの良いものをつくるとしたら、染料が天然じゃないと嫌だと思って、草木染めの情報を調べて、ネットで調べて今の職人さんに出会えた。 

それからかれこれ5年ずっと一緒にやってるんだけど、その職人さんに「一緒にやってください」とお願いしに行ったのが、2013年の始め。 これが「Liv:ra(リブラ)」の始まり。 

水晶:素敵。私がリブラを一目見たときから好きだった理由が今納得できました。 

 

「自分がこうしたい」という想いを手放していくプロセスが、とても大変で、 大切だった
 

水晶:どうして「ランジェリー」っていうテーマにしようと思ったんですか?

優美:私自身はランジェリーがめちゃくちゃ好きだったわけじゃなくて、要望が多かったとか、ニーズが多かったから、ランジェリーにしてるんだけど、 やっぱりリブラとか、TSUNAGUとかFLAT.もそうだけど、色んな仕事をする上で、「自分がこうしたい」っていう執着を手放していくプロセスが、自分にとって、逆説的だけど自分を生きるための大きなポイントだった。 自分の作品づくりだと、もっとぶっ飛んだことになると思うんだけど、そうじゃなくて、「社会に求められてること」と、「私がやりたいこと」と、「本当に自分の使命だと思うこと」が、ちょうど一致するポイントがあると思ってて、そういうところでやっていく必要があると思ってるんだけど、その中で「私がやりたいことを手放す」っていうプロセスが、結構きつかったかな。 

水晶:すごい、もっと聞きたいです。私も音楽をやっていく上で、とても考えてるポイントだから。 

 

優美:なんか「あきらめ」に近いというか。良い意味でね。自分のイメージできることってすごく限定されたものだから、それ以上の道を、世界は用意してくれてるって信じることが、すごく大切なことかな。自分の考えとか、こうしたい、ああしたいってことは、あんまり大したことないって思ってるんだと思う。 それよりも、見えない「大きな流れ」があって、その流れの中に自分がいて、その流れに沿っていくのが、一番自然な状態なんだって思うようになってから、執着が減ってきた。 「どうしてもこうしたい」とか「私はこうだ」みたいなのが、自然に減ってくる。そうすると、自分の想像以上の展開があったり、世界が広がったりもするし、自分以上に大きな世界と繋がってさえいれば、もちろんしんどいこともあるんだけど、同じビジョンを持つ仲間と一緒に超えられるみたいな感覚がすごいある。 

水晶:素晴らしい話です。 

 

何かを作り出すことは「状態」。状態を整えたら、「自然な状態」でうまくいく。だから、「自然のまま」に生きればいい。

優美:水晶ちゃんが、528Hzのアルバムを作ってたよね?あれ、本当に528Hzなの?(※注1)

水晶:そうです。その周波数で作りました。 

優美:私も、そういう愛の周波数のようなものって、人によって解釈は違うけど、幻想じゃなくてあると思ってる。意識がそこにあること以上に幸せなことはないと思ってて、常にそこを意識して行動したり、アクションを起こしたりするようにしてる。 その感覚にいることが、自分よりも大きなものと繋がってるっていう確信の理由。 

水晶:うん、「感じる」ってことですよね。 

優美:そうそう、感じる。何かをつくりだすってことは「行動」だと思われてるけど、私は行動の前にまず「状態」だと思ってて、自分の感じる状態がどうあるかが、全部をつくってると思う。

水晶:私もそう思います。 

優美:状態が良かったらうまくいくっていうわけじゃないけど、状態を整えたら、「自然な状態」で広がっていく。でも今の現実社会ってどうしても「やろう」としてしまう。 早めに動こう、早めにやろう、って・・・でも状態が整ってないうちに動いても、たぶん結果は一緒だから。 だから上手くいかなかったりして焦ってしまうことも多々あるんだけど、そういうときは 一旦止まるようにしてる。 

水晶:私、歌うときはいつもその「状態」を意識しています。でも、経営者としてそれをやっている優美さんって、本当にすごいなって。 そしてそんな優美さんの元で、TSUNAGUやFLAT.に関われている自分が、とても幸せな環境にいるんだと思って、嬉しくなってしまいました。 

 

インタビューでは、記事におさまらないほどの深くて楽しい話をたくさん聞くことができて、とても幸せな時間を過ごすことができました。

小森優美さん、本当にありがとうございました!

注1)528Hzとは、別名「ソルフェジオ周波数」といわれていおり、脳や体が無意識に快感と感じる音のこと。528Hzの音楽にはリラックス効果があり、心身を安らぎモードに導く副交感神経に直接作用する音の要素が豊富に存在するので、交感神経優位で生じる多くの病気を予防したり改善することができると言われています。別名愛の周波数。

 

〜プロフィール〜

小森優美

株式会社HighLogic代表取締役

ファッションデザイナー 

 東京在住
 

1983年5月20日奈良生まれ牡牛座B型。
 2006年大阪モード学園卒。新卒でファストファッション企業のデザイナーとして就職後、 商社系ブランドライセンス事業会社の新規事業開発室に転職、新規ブランド立ち上げの仕事に携わる。
2010年独立、株式会社HighLogic設立。
 当初はファストファッション通販会社として始めたものの売上至上主義の仕事に疑問を感じ、自然や人、地球と調和したファッションのあり方を模索しながら、2013年メイドイ ンジャパンのエシカルファッションブランド”Liv:ra(リブラ)”開始。
 以後、Liv:raを始め、企業の商品開発、ブランディングなど、エシカルプロダクトデザイナー/ディレクター/プロデューサーとして活躍する。
美しいもの、かわいいもの、哲学、楽しいことが好き。
バックパッカーで世界中を旅したり、フェスに行ったり、アクティブかと思いきや平日は思いっきり引きこもりたい極性の激しい人。
世界を旅するのと同じ感覚で内面への旅も好き。
趣味は読書、旅、音楽鑑賞。夢は持続可能な社会を創ること。 

 

 

井上水晶-mia- 音楽家 

1991年福岡生まれ。3才の時クラシックピアノを習い始め、6才より作曲を始める。11才から14才まで父の仕事の都合で中国・北京に暮らす。16才から松任谷正隆氏の勧めで、 シンガーソングライターとして創作活動を始める。音楽を通して社会問題に貢献したいと考え、慶應義塾大学のSFCに入学。2012年6月、東映アニメーション映画『虹色ほたる ~永遠の夏休み~』の劇中歌として、松任谷由実の名曲「水の影」を松任谷正隆プロデュースによりカバー。大学卒業後は、テレビ・ラジオ出演、CMソングの制作、コーラスによ るレコーディングセッション、ソニーミュージックの講座「ソニアカ」講師など、様々な音楽経験を積みながら、都内のライブを中心に精力的に活動。2017年7月、ソニーミュージック内のハイレゾ配信専門レーベル『Onebitious Records』より音楽ユニット『ツダミア』としてアーティスト活動を開始。ツダミアでは「100年残る音楽」をテーマにした音楽活動をしている。また、「FLAT.」では、様々なクリエイターや活動家の人々と共に サステナブルな活動を広めていきたいと思っている。 

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