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尾州から、生活の中の「ものづくり」を次世代へ

近年ますます縮小していく日本のものづくり産業。愛知県と岐阜県にまたがる木曽川沿いを中心とした織物産地である尾州地域では、職人の高齢化が問題視されています。その一方、若手の職人やデザイナーが新しい価値観を盛り込みながら、日本のものづくりの魅力を再発信されています。

今回は、大学卒業後すぐにブランドを立ち上げ、新しいテキスタイルのかたちを発信されている terihaeru代表 小島日和さんにお話を伺いました。

 

世界屈指のテキスタイルを

 

ー どのような経緯でテキスタイルの活動を始められたのですか?

小島さん:もともと地元の芸術大学でテキスタイルを学んでいました。その中で、学生と産地職人がタッグ組んで服を作ることになって。その時に私が組んだのが、今も師匠であるションヘル機を使用し見たことのないテキスタイルを作るデザイナーでした。師匠が使っているのは、世界でもこの地域でしか稼働していない、珍しい旧式の織機、ションヘル織機。ションヘル機は広幅のシャトル機で非常にアナログな機械なので最大6種類のヨコ糸でテキスタイルを織ることができます。古い織機だからこそ新しいものができるテキスタイルに引き込まれ、卒業後もこの分野に関わろうと決めました。

(ドイツ由来のションヘル機は、世界的に見ても稼働が珍しいそう)

 

ー 見たことないようなテキスタイル!立体感があって素敵ですね。

小島さん:ションヘル機は手織りに近く、「アナログ」だからこそできる風合いのテキスタイルが生まれます。大手メゾンにも好まれていてニーズがあるものの、多くの職人さんが70〜80代という高齢な産業。もし職人さんがなくなってしまったら産業自体が残らない。可愛いし、ニーズもあるのに継続することが難しいという事実を目の当たりにして、なんとかしないと、と思いました。

(立体感のある、カラフルなテキスタイルたち)

 

ー そういった背景があったのですね。

小島さん:布を織る職人「機屋さん」が「儲からない」システム上にあります。工賃も安く、作る人へのしわ寄せが強い。思い返すと、昔は自分でデザインした着物を作っていたんですよね。だけど、高度経済成長の中で生地をたくさん作り始めたことで、製作過程を細分化せざるをえなかった。こういった社会的な流れの名で、もっと自分がデザインしたいものを自由に作っていけるようなものづくりの形へ戻していきたいと思っています。下請けとしてではなく、「作るところ」と「考えるところ」を一緒にやっていきたいので、私自身がデザインし、織りも勉強しながら行なっています。

 

 

若手デザイナーによる、ものづくりの”新しい担い方”

 

ーブランドづくりに加えて、尾州の若手職人やデザイナーのコミュニティも作られているのですよね。

小島さん:繊維業界自体、正直考え方が古くて、若手がチャレンジしても頭ごなしに否定されることもあります。実際に私も、熱意を持って産地に入ったもののチャレンジする機会が少ないがゆえに辞めていく若手を何度も見てきました。辞めていく人は、産地も、作っているテキスタイルも好きなのに、新しいアイディアが思いついても「お前はまだまだだから手を出すな」と言われていまう。こういう状態が2、3年続くと精神的に参ってしまうし、そもそも好きだったテキスタイルが嫌いになってしまう。産地全体が若手不足の中で、こういった問題が起こっていることにすごく違和感がありました。

 

ー そういった課題感を持って、NINOW(https://www.ninow-textile.com/)を立ち上げられたのですね。

小島さん:NINOWは、「担う」という意味と、NOW=今という意味を込めていて、若手デザイナーや職人による、産地の新しい担い方を模索しています。ここでは、繊維産地のテキスタイルメーカーに入社してテキスタイルデザインを任されているテキスタイルデザイナー手が集い、半年に一回東京で展示会を開催しています。

(毎年東京で開催されている NINOWの展示会)

 

小島さん:NINOWのような場を作ることで、テキスタイルデザイナーの感性とアパレルブランドの感性をマッチングできると思っています。アパレルブランド側が技術重視でテキスタイルを発注するとそれは下請けになってしまうので「私たちのブランドと同じ感性をもつテキスタイルデザイナーがこの会社にいるから」というように、お互いの想いを共通項にして職人とアパレルブランドが対等な関係でビジネスができる場を作りたいです。

 

そういった場は、展示に出展するデザイナーが所属する企業のメンバーとのコミュニケーションにも、良い循環を生めると思っています。日頃、同じ仕事をするメンバーがどんな想いで仕事しているかってなかなか見えませんよね。NINOWでは、出展するデザイナーの一人一人が自身の想いをプレゼンテーションする時間を作っていて、そこで改めて仲間の想いを知ることができるようにしています。そうすることで、ものづくりへの情熱とともに協働する仲間との絆が深まっていければ、と思っています。



 

生活の中にある「ものづくり」

 

ー 今後、尾州からどのようなものづくりをされていきたいですか?

小島さん:繊維産業全体が落ち込んでいるからといって、みんなと同じことしてもつまらない。本当に心からやりたいという想いがないと、なかなか簡単にできる業界ではないと思うのですが、terihaeruやNINOWを通して仕事で布に関わることが幸せで、繊維産地で生きていくことは本当に楽しいよ!ということが伝わればテキスタイルを学んでいる学生にも繊維産地で働くということが選択肢の一つになるんじゃないかなあと思います。

 

terihaeru

HP:https://www.terihaeru.com/

Facebook:https://www.facebook.com/terihaeru/

Instagram:https://instagram.com/terihaeru/

 

NINOW

2019年10月に展示会を開催されます。名刺をお持ちでしたら、どなたでもご参加いただけるので、ぜひお越しください!

 

NINOW -TEXTILE JAPAN IN PROGRESS- vol.4

2019/10/10(木)10:00-20:00 *プレゼンテーションタイム18-19時      

2019/10/11(金)10:00-17:00

〒150-0033東京都渋谷区猿楽町29-21 ヒルサイドテラス アネックスA棟 2階・3階http://hillsideterrace.com/

 

HP:https://www.ninow-textile.com/

Facebook:https://www.facebook.com/ninowtextile/

Instagram:https://www.instagram.com/ninow_textile/

MARI KOZAWA by
FLAT.ディレクター。大学で国際協力を勉強し、実際に海外へに足を運びながら「エシカルな(透明な)社会システム作り」を軸に活動中。エシカルファッションブランドTSU.NA.GU.の運営に参画し、ファッションの透明性の発信や生産者と消費者のプラットフォームづくりを行う。