【対談インタビュー】木村萌(後編)「純粋な想いを大切にしながら“愛着”が生まれるものづくりをしたい」

こんにちは。井上水晶です。

木村萌さんの対談インタビュー前編から、後編も引き続き、萌さんの「ものづくりに対する想い」に焦点をあてながら、文章をお届けしていきます。

対談インタビュー【前編】は、こちらからご覧ください。

 

〜いらなくなった大理石の破片からつくった「一輪挿し」〜

萌:これは、イギリスにいるときに、捨てられる予定だった大理石の破片でできた一輪挿しのプロトタイプ。

ヨーロッパ圏では、机や床や家具などの素材として「大理石」が使われることが多い。 でも、つくる工程の中で、割れちゃったり、切り出したりして残った大理石は、そのまま捨ててしまうために、たくさんのゴミがでる。そのゴミを使って、何かをつくらないかというプロジェクトがあった。

水晶:このボトル素敵だね。 真ん中だけ透明になっていて、植物が見えるのがいいね。これは全部大理石でできてるの?

萌:上と下が大理石で、割れている断面をそのまま使うというアイデアで、試作として石膏でつくったもの。
真ん中の透明の部分は、レジンという素材を使ってるよ。

本当は課外プロジェクトとしてプロトタイプをつくり、製品化し、デザインウィークに展示する予定だったんだけど、一緒に仕事していた工場のイタリア人の人たちが、すごくテキトーで・・・ 。(笑)結局、期日に間に合わなかったの。

水晶:それは、海外ならではの経験だね。

萌:うん。つくってみてわかったのは、捨てられている素材を使ったとしても、そこからの工程で、 またさらに別のゴミが出ちゃうこと。だから、そこをもうちょっとシンプルに改良してみたい。

水晶:ぜひ製品化してほしいなぁ。

なんだか話を聞いていて感じたんだけど、萌ちゃんは「作品をつくっていたら、いつの間にかエシカルにたどり着いた」という感じなのかな。

萌:そうかもしれない。 今の世の中的には「エシカル」という言葉が先走りしている傾向もあるから、あまり強調しすぎず、 あくまで純粋に良いものをつくる気持ちを大切にしたいと思ってる。 環境保全を訴えることはとても大切だけれど、「つくり手」としてはそれが一番というわけじゃない。

水晶:そうだね。 クリエイターはその作品に宿す「命」や「愛」がもっとも重要で、そういったエネルギーのある作品が結果的にサステナブルな循環を生み出していくのが理想的。

だから最終的には「どういう人がどういう想いでそれをつくったのか」ということに自然と興味が湧いてくるなぁ。

 

つくられてから、人の手に渡るまでのストーリーを知ることができる
〜サイン入りのタグがついた「Tシャツ」〜

萌:そういえば、一緒にFLAT.をやっているメンバー未央ちゃんと、こんな作品をつくったこともあったよ。

なんてことない真っ白なTシャツなんだけど、とても長いタグがついていて、1枚のTシャツに関わってきた人全てのサインがかいてあるというコンセプト。

Tシャツの元になるコットンをつくる人、それを生地にする人、縫製して包んで送る人、届いてチェックする人、それを販売する人、Tシャツを買った人、そのあとTシャツを譲った人・・・その人たちの名前が全てサインとして刻まれている。 そこには、たとえば東南アジア人の名前とか、中国人の名前とかもある。 「こんな場所から来てるんだ」ってことを知ることができたら、面白くない?

水晶:すごく面白い!私は普段スーパーで野菜を買うとき、産地とか、農家の人の顔写真を見たりして買うのが好きだけど、それにも似ているかな。安心や安全はもちろんなんだけど、どういう風につくられているか知れることって純粋に豊かさを感じるし、楽しいよね。

 

 

今回は、萌ちゃんがこれまでつくってきた「作品」にスポットを当てながらインタビューを進めました。そうして、萌ちゃんの「作品」に、「これからのものづくりの可能性」をたくさん感じて、その新鮮さに心が踊りました。作品の一つ一つに、萌ちゃんの無邪気で自由な心がそのままあらわれていて、それが見る人の心を自由にしてくれるのだと思いました。

萌ちゃん、ありがとうございました!

 

〜プロフィール〜
萌 (もえ) デザイナー / ライター

1991年 東京都生まれ。2014年武蔵野美術大学を卒業後、渡英。University of Arts London, Camberwell College of Artsにて修士号取得。物に対する愛着や感情をテーマにした作品を作る ことが多い。2015年夏にはフランスのクリエイティブの実験場、Domaine de Boisbuchetにて 著名なデザイナー達を講師に迎え共同生活をしながら行うデザインワークショップのインターンと して住み込みで働く。2016年にはロンドンに拠点を持つデザインリサーチギャラリー、Matter of Staff 主催のDesign residency に参加し、廃材となる大理石を使ったプロジェクトに参加。 リサーチや人との出会いから、既にものが溢れているなかでものづくりに関わる意義について考 えるようになり、アップサイクリングや、サステナビリティといった分野に興味を持つように。物の価値を問うような、かっこいいアート作品や、デザイン活動を紹介しながら、楽しく、これからのものづくりについて考えていきたい。

 

井上水晶 音楽家 / ライター

1991年福岡生まれ。3才の時クラシックピアノを習い始め、6才より作曲を始める。11才から14才まで父の仕事の都合で中国・北京に暮らす。16才から松任谷正隆氏の勧めで、シンガーソング ライターとして創作活動を始める。音楽を通して社会問題に貢献したいと考え、慶應義塾大学の SFCに入学。2012年6月、東映アニメーション映画『虹色ほたる~永遠の夏休み~』の劇中歌と して、松任谷由実の名曲「水の影」を松任谷正隆プロデュースによりカバー。大学卒業後は、テレビ・ラジオ出演、CMソングの制作、コーラスによるレコーディングセッション、ソニーミュージッ クの講座「ソニアカ」講師など、様々な音楽経験を積みながら、都内のライブを中心に精力的に 活動。2017年7月、ソニーミュージック内のハイレゾ配信専門レーベル『Onebitious Records』 より音楽ユニット『ツダミア』としてアーティスト活動を開始。ツダミアでは「100年残る音楽」 をテーマにした音楽活動をしている。また、「FLAT.」では、様々なクリエイターや活動家の人々と共にサステナブルな活動を広めていきたいと思っている。

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