「ふらっと」のぞいてく? "エシカル" "サステナブル" をもっと身近に、もっとおしゃれに。

【アーティスト紹介】アートを通して社会課題を考える。

 

様々なクリエイターや活動家が、どういう人生を送り、なぜエシカルやサステナブルなことに興味を持ったのかインタビューするこのコーナー。

今回は、アーティストの町田隼人さんにインタビューしました。

 

町田隼人さんって?

町田隼人さんは、沖縄国際大学で活動している学生アーティスト。学生アーティストの登竜門であるターナーアワード2018で「未来賞」を受賞された、期待のアーティストです。

 

活動について

ー どんな活動をしているんですか?

 

町田 : 展示会や企業とのタイアップを中心に、創作活動を行っています。

 

ー 大学で絵を描き始めたきっかけは何ですか?

 

町田 :  今の大学で、1年次に学園祭のロゴを描いたことがきっかけです。

小さな頃から絵を描くのは好きだったのですが、美大や芸大ではなく経済系の大学に進学しました。

何故なら、芸大や美大に進んだ後、自分が仕事をもらえるのか不安だったからです。

もし経済学を学んだら自分でお店を作り、

デザインや創作活動が出来ると考え、今の大学に進学しました。

進学して半年が経つ頃、学校側から学園祭のロゴのイラストを描く話がありました。

その時、改めて「絵を描くことって楽しい!」 と思い、

NY留学を経て本格的な創作活動を始めました。

 

ー 本格的に活動を始めた時、周りからの反応はどうでしたか?

 

町田 :  かなり心配されていたと思います。

親からは昔から、「安定した職に就け。」と言われていました。アーティストという不安定な職業はやめてほしい。という想いもあったと思います。

ただ、当時の自分も「沖縄でアーティストとしてやっていける!」という自信はありませんでした。何故なら、僕の周りには、「自分もこの人みたいにやっていきたい!」思えるアーティストが居なかったからです。

そもそも沖縄はもちろん、日本全体を見てもアーティストとして食べていける人はすごく少ないと感じます。僕の知識不足かもしれませんが、アート市場が狭い日本ではロールモデルとなる人を探すのは難しいと感じました。

だから僕は市場が大きく、 プロのアーティストが多く集まるNYに行って、アートを仕事とする人たちに話を聞くことにしました。

 

 

NYが教えてくれたこと

ー NYでは何をしていたんですか?

 

町田 : プロとして活動するアーティスト達に会いに行き、沢山の話を聞きました。厳しいことを言われたり、食べていけない現実を見たりもしましたが、僕の中で決まったのは

やっぱりアートを仕事にしたい。ということでした。

そして、新たに見つかった目標は、

アートを通して問題提起をしていきたいということです。

僕がNYに行ったのは、トランプ氏とクリントン氏が大統領選挙で戦っている真っ只中でした。政治や環境、社会問題についての論争が多く、それを基に作品を作るアーティストの姿を多く見ました。

かっこいいなと思ったし、単純にすごいなと。

今まで僕は、友達に喜ばれるような絵を描いたり、 頼まれたデザインしかやってこなかった。

でも、NYのアーティストは違いました。

壁に書いた絵、雑誌に載るイラスト、街中に自己表現をするアーティストたち…

彼らが自分の表現で問題提起をする姿を見て、

僕は、アートにはこんな力があるんだ。

と圧倒されました。

そして、自分にはどんなことが出来るのか? 

そう考えるきっかけをNYで得ました。

 

 

アートを通して問題提起をする

ー NYの活動を経て何か変わったことはありますか?

 

町田 : 身の回りの社会問題に関心を持つようになりました。

沖縄に帰って気づいたのは、自分の周りにはたくさん問題があったということ。「沖縄にはこんな課題がある。」と聞いても、僕は今まで真剣に考えたことがなかった。

それは政治や社会問題に対して働きかけることが

なんとなく難しくてなんとなく近寄りがたいもの

だと感じていたから。

例えば、僕の友達がある日突然、「日本にはこんな問題がある!だからこうしなきゃいけないんだ!!!」と、いきなりデモ活動や座り込みを始めたら、最初は驚いてしまいますよね。いくら友達とはいえ、政治や社会に対して運動する文化が今一つ育っていない日本ではいきなりは、気持ちが追いつかないこともあると思います。

じゃあ、僕にはどんなことが出来るのか?

その答えが、

アートを通して明るく問題提起をすることでした。

「この絵はどんな意味があるんだろう?」

「なぜこれが描かれているんだろう?」

そんな風に、絵をきっかけに少しでも社会問題を考える機会を作りたい。

そう考えるようになりました。

 

ー NYや沖縄を経て、今の町田さんが実現したいことは何ですか?

 

町田 :  YesかNoか。賛成か反対か。

どちらかの立場じゃなくて両方の意見を考える人を増やしたいです。

この選択肢はこんな面がある。

この選択肢にはこんな問題がある。

その上で意見を持ってもいいし、持たなくてもいい。

確固たる立場を持たずに、考える人が居ても良いんじゃないかな。と思います。

 

ー 立場を持たずに考える。とはどういうことでしょうか?

 

町田 : 実際に僕の絵を例に説明します。

 

①LIONEL

町田 : これは動物の毛皮をテーマに描いた絵です。

毛皮の問題には、大きく二つの主張があります。

一つは、毛皮賛成派。

ファッションや生活において、毛皮を使い続けるべきだ。と主張する人々です。

二つめは、毛皮反対派。

毛皮をファッションに使うことに対して、抵抗がある人々です。 

僕は、このどちらの立場も平等に扱っています。

 

ー それはなぜですか?

 

町田 : それは、僕が答えを出すのではなくて、 

見る人が直接考えたり、悩んだりしてほしい

考えるからです。

物事には色々な面があります。良い悪いや 賛成か反対か二つの選択肢では表せないくらい、複雑に絡み合っていることもある。

 

だから、自分の確固たる答えを出すことってすごく難しいんです。

 

毛皮の問題で例えるなら、仮に毛皮をどんどん使おう!という社会になったとします。

すると、たくさん動物を殺して、たくさん皮をはいで、服やものが作られます。

毛皮はとてもあたたかいし、

動物を狩ることで喜ぶ人もいるかもしれない。

だけど、環境面や動物の権利という面ではすこし心が痛いですよね。

 

逆に、絶対に毛皮を使わないようにしよう!

という社会になったとします。

すると、毛皮の加工をしていた人たちは職をなくし、長く続いてきた文化や誇りは消えてしまいます。

動物の命は守れるかもしれないけれど、昔から色々なところで使われてきた技術や、産業がなくなるのは寂しい気もします。 

どちらも知ると、

どちらにも困る人がいるんです。

賛成、反対どちらか。なんて簡単に選べない。

でも、僕はそれで良いと思っています。

賛成か反対かどちらかなんて選べない。でも、それでいい。

どちらかを選ばずとも、どちらの影響も知っている。それが大事なんです。


結論はあとから出てくるかもしれないし、ずっと出ないかもしれない。

 

だから、僕の絵が問題の気づきとなり、自分で考える瞬間を生むこと。

それが僕が絵を描く理由です。


②Penetrate


町田 : 次は実際に、僕の絵を体験してもらおうと思います。読者の皆さんも、良かったら考えてみてください。これは、南国の海にシャチの親子が暮らしている様子を描きました。どんな社会問題がテーマだと思いますか?


ー うーん、、ヒントを一つお願いします。

 

シャチという生物はすごく強くて、その多くは冷たい海に住んでいます。

 

ー 難しい…!


そうですよね、これは米軍基地がテーマです。

 

ー どうして米軍基地が、南国のシャチの親子に結びついたのですか?

 

それは、南国のシャチの親子が、日本に住む、米軍の家族の子供と重なると思ったからです。

シャチは哺乳類最強と呼ばれており、

本来は水温の低い地域を好んで住むと言われています。

そんな生き物がいきなり南国に現れて住み始めたら昔から住んでいる魚たちはびっくりしますよね。

追い出そうとするかもしれない。

でも、そこで生まれたシャチの子供には、南国が当たり前の故郷なんです。

外部から強くてよくわからない人が来ると

危険を感じるのはよく分かります。

でも、そこで生まれた来た側の子供には、何の罪もないんです。

「問題」と言われている出来事の裏にはあらゆる人々が暮らしています。

沖縄に基地や米軍が存在することに、違和感を持たない人だっています。現地ならではの、意外な視点に気づくきっかけになれば。と思ってこの作品を描きました。

 

 

地元ならではの視点

 

実は、僕の地元も同じことが起こっていました。

僕が産まれた北谷町は観光が栄えていて、それは米軍基地が存在するからでした。

北谷町には「アメリカンビレッジ」というアメリカがテーマの商業施設があります。そこには毎年、観光客がたくさん来ます。でも、その場所は米軍基地に隣接した場所を埋めて出来たものです。

たしかに、基地があることによって色んな危険性もある。

だけど、僕の街は基地があることによって活性化していました。

生まれる前からそこにあって、僕にとって米軍基地があることはある意味、当たり前だった。    

何の疑問も持たなかったんです。

でも、大きくなるに連れて僕とは違う考えを持つ人々が居ることも知りました。

反対側の地区では、轟音や事故の影響で、基地に反対する人々も多くいました。

基地賛成!だと反対派の人たちに角が立つし、 

基地反対!だと地元の産業を否定することになる

僕は、次第に自分の答えに自信を持てなくなりました

でも、それでいいんじゃないかな。って。

確実な答えや完璧な解決策が持てなくても考え続けることは出来る。

Yes  か No だけの選択肢じゃなくて、真ん中でただ考える人が居てもいい。それを教えてくれたのは沖縄でした。

そして、沖縄以外にもどちらかの立場や、一つの答えだけで解決しない問題がたくさんあります。 次の絵は、全てを象徴する絵と言えます。 

 

 

③World


この絵は、世界には問題も喜びも全てが同時に存在する。ということを表しています。


ー色や形にはどんな意味があるんでしょうか?

 

赤⇨血(過去の過ち)
ピンク⇨愛
青⇨海
緑⇨自然
白⇨新たな生命
紫⇨汚れたもの(問題)
オレンジ⇨太陽


という意味があります。どれも欠かすことのできないものが鱗のように重なり合って存在していることを表しました。鱗が上から重なってるのは魚(世界が)が未来を登ることを表しています。

NYや沖縄での気づきを通して、世界は良い面だけじゃなく沢山の悲しい現実があることを知りました。最初はショックを受けましたが、それが世界なのかもしれないと思うようになったんです。

良い面も悪い面も、大人も子供も混ぜこぜになって存在している。社会課題があるからこそ輝く人だっているかもしれない。

This is it!
なんて言えない。それが世界。

曖昧で繊細で複雑。
そんな世界を描いた作品がターナーアワード に選んでいただけて、本当に嬉しかったです。

学生アーティストの登竜門、ターナーアワードの未来賞を受賞された時の隼人さん。

 


ー 最後に、これからの活動について聞かせてください。


もっと色んな作品を作りたいと思っています。
僕の作品は沖縄らしいね。とよく言われます。 

でも「沖縄だから」評価されるんじゃなくて 「町田隼人の絵が素敵だから」という理由でないと、たくさんの人に見てもらえないと思うんです。たくさんの人に見てもらえないと、僕の問題提起は広がりません。

沖縄らしさはアイデンティティとして大切にしつつ、大衆化も目指したいです。
沖縄だけじゃない、日本だけじゃない、世界中を見て回って、自分らしい問題提起が出来たらな。と思います。

ただ、自分らしい表現をしていく中で、沖縄らしさを見つけてもらえたらそれはそれで嬉しいですね。

町田さん、有難うございました!

是非これからも、町田さんらしい素敵な表現を広げてください。

筆者の感想
アートの表現を広げるために、「色んなことを吸収したい!」という隼人さん。この対談インタビューも、町田さんの方から声をかけていただきました。熱意と行動力を持ちながら、冷静に自分と周りを見つめているその姿は、社会問題を冷静に偏りなく描く姿勢と同じだと感じました。現実を嘆くのではなく、それから「どうするか」というところに重きをおく町田さん。そのビジョンはみんなが実践できる社会アイデアを紹介する、FLAT.と同じだな。とお話を聞きながら胸が熱くなりました。

アートを通して社会問題を考えるきっかけづくりをしている町田さん。

FLAT.は町田さんのように、それぞれの未来を目指すクリエイターを応援して参ります。
町田さん、これからも応援しています!!頑張ってください!!

宇都宮胡桃 by
▶ 宇都宮 胡桃(うつのみや くるみ)福岡県北九州市生まれ/FLATディレクター 小学2年生から環境問題の活動を始め、今年でついに13年目。子供の頃から自然が大好きで、自然と人が仲良く暮らせる経済を目指している。 「正しい」を伝えるのではなく、「楽しい」を輝かせたい。これをモットーに、記事では長く続くものづくりや、デザイン重視のエシカル商品を紹介します

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