クリエイターが伝える海のこと。ウェブムービー「混獲-Bycatch-」

(出典:Hidenori Tanaka/Greenpeace)

 

「混獲(こんかく)」という言葉を知っていますか?

 

あまり普段聞きなれない言葉ですよね。

「混獲」とは、漁業において、捕獲対象の魚種以外の生き物を一緒に捕獲してしまうことです。

今世界では、絶滅危惧種を含む、ウミドリやウミガメ、海洋哺乳類、その他様々な種類の魚が誤って捕獲されています。

 

混獲されたウミドリ(出典:Roger Grace/Greenpeace)

 

特にウミドリは、毎年少なくとも16万羽が混獲され命を落としていると言われています。また、ウミガメは30万匹混獲され、うち何万匹もが命を落としているとされています。

 

 

アートで伝える混獲問題

 

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、混獲問題を提起するために、世界的に活躍するクリエイターとコラボレーションし制作したウェブムービー「混獲-Bycatch-」を公開しました。

 

映像にはこのようなストーリーが込められています。

 

”静かな夜の海辺で、漁網ドレスを身につけて踊る二人のダンサー。

彼女たちは混獲の被害を受けるウミドリを表現、ダンサーのまわりに積まれる漁網の山は、迫りくる捕獲の脅威を表す。

伸びやかに舞う二羽のウミドリだが、だんだんと周囲の漁網にとらわれ動きが鈍くなり、ついには月光の下で息絶えてしまう。”

 

 

世界で活躍するクリエイティブの先鋭たち

「混獲-Bycatch-」制作メンバー(出典:Greenpeace)

 

実際に使われていた漁網を使用したコスチュームの制作と演出は、FLAT.の記事(https://flat-media.net/?p=230 )でもご紹介した、リ・サイクル・スタイルの谷公美子さんが担当しています。

映像ディレクターは、サザンオールスターズの“闘う戦士たちに愛を込めて”のアニメーションMVなど、インパクトの強い作風で商業映像のシーンで活躍する大月壮さんダンサーはコンテンポラリーダンサーの小佐野智美さんと、イギリス出身のバレエダンサーのアシュリング・クックさん。

また、再生可能エネルギーの普及に尽力中で、2016年末にはChim↑Pomキュレーションにより個展「ビオクラシー」展を開催した総合プロデューサーの平井有太さん、映像クリエイター兼メイキング動画撮影の、スケーター界を代表するフィルムメイカー田中秀典さん、数々のミュージックビデオや広告などで活躍する照明ディレクターの前島祐樹さん、ミュージックビデオ、ライブ映像、CD ジャケット、企業向けの広告映像などを手がける映像作家の及川佑介さん等、国内外で活躍するクリエイターが参加しています。

 

グリーンピースジャパン特設サイト(http://act-greenpeace.jp/ocean)では、「混獲-Bycatch-」が視聴できるほか、クリエイター1人1人のコメントや、海の環境保全に関する情報を読むことができます

 

日本人にとって身近な食材であるシーフード。簡単に手に入る裏側には、実は多大な環境への負担があります。

この混獲問題の儚いストーリーを伝えるウェブムービーは、海や生き物にとっての負荷が少ない漁業とは何かを考えるきっかけになるのではないでしょうか。

サステイナブルな方法で獲られたシーフードを扱うレストランへ行ったり、一本釣りなどの混獲が起きにくい漁で釣られた魚を探してみたり、消費者が環境に優しいものを選べば、少しずつ状況が改善されていくと思いませんか?

 

 

グリーンピース特設ウェブサイト:http://act-greenpeace.jp/ocean

動画公開サイト: https://youtu.be/7i0N-WaWOvc

投稿者プロフィール

小林ななこ
小林ななこ
1991年東京生まれ。子どもの頃から人権や貧困問題に関心があり、高校生の頃より人権系NPOで活動を始める。大学では染織を専攻。卒業後、ロンドンのChelsea College of Artsでテキスタイルデザインとサステイナブルデザインを学ぶ。クリエイティブな方法で、社会問題の解決や世界平和に貢献したい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です