【インタビュー】ストローから始まる人との繋がり(前編)

環境にも、景観にも、そして人体にも影響があるといわれているプラスチック。

前回の記事では、プラスチックゴミの問題や影響、そしてそれらを解決するために一人一人ができるアクションを紹介しました。

プラスチック問題を解決するための最初の一歩は、まずはいわゆるシングル・ユース・プラスチックと呼ばれる、使い捨てプラスチックを減らすことです。

おそらく、マイバックやマイ水筒を持つことは最も簡単なアクションの一つですが、それ以外にもプラスチック問題に対するアプローチはあります。

その一つはマイストローを持つということ。

今回はステンレス製ストローを販売・レンタルしている のーぷら No Plastic Japan (以下、のーぷら)のノイハウス萌菜さんにインタビューをしました。

 

 

〜プロフィール〜

ノイハウス萌菜

コンサルタント/「のーぷら」No Plastic Japan

1992年生まれ。イギリス育ちのドイツ人と日本人のハーフ。 イギリスの大学で心理学を学び、その後日本に引越し、現在パブリック・アフェアーズのコンサルタントとして大企業のコミュニケーション戦略、政府渉外、PRなどに関わっている。

環境保護には子供の頃から関心が強かったが、日本に引っ越してから周りの物の「使い捨て」の多さに敏感になり、一人一人ができるところから変えていくべきだと感じた。2018年からNo Plastic Japanを通じて、ゴミ問題の現状やプラスチックゴミについてのニュースなどを日英で発信している。

 

 

 

 

サービス=モノが多いってなんだかおかしいよね

 

りょうこ:まず、どうしてプラスチック問題に関心を抱いたのか教えてもらってもいい?

モナ:18年間イギリスに住んでいたんだけど、そのときから環境問題には興味があってずっと「何かしたいな」って考えてた。ただ、より具体的に考えるようになったのは日本に来てからだから、2年くらい前かな。日本に住み始めてから、ゴミの多さを目の当たりにしたんだ。もちろん道に落ちているゴミの量はロンドンと比べると少ないんだけど、いろいろなモノの使っている量を見ると「えっ、これってゴミはどうなってるの?」って思った。例えば、お土産用やオフィスに置いてあるお菓子も過剰に梱包されていて、「これっておかしいな」って感じたの。

りょうこ:たしかに。

モナ:それでマイバックを持ち始めたけど、正直周りで持っている人は少なくて、広がってないんだなって思った。

りょうこ:ぶっちゃけ、マイバックを持ってても、スーパーで買い物をするときにはいちいち断らないと袋をつけられちゃう。

モナ:そうそう、何回も断らなきゃいけないんだよね。

りょうこ:レジ袋を断っても、もう一回断らないとビニール袋はつけられちゃうもんね。

モナ:だから、なんで断っているのかがあまり伝わってないんじゃないかって思う。ちょうど先日も仕事でお客さんにお菓子を買って、手渡しだから袋を断ったんだけど、「手提げ袋はいかがですか?」と聞かれて、「いやいやもう本当にいいんです」ってなって。もちろん、サービスの一つなんだけどね。サービス=モノが多いっていう風にはなってほしくないな。そこを切り離してほしいよね。

りょうこ:サービスもちょっと過剰だなって感じるときもあるもんね。

 

 

もうやるしかない!私がリードしていこう

 

りょうこ:もともと関心のあったゴミ問題のなかでも、何でプラスチック問題に焦点を当て始めたの?

モナ:プラスチックって私たちの周りにたくさんあるけど、その多くはリサイクルせずに一度きりしか使わないことのほうが多いよね。色々なゴミの中でもなくなりにくいものだし、環境に悪影響を及ぼすものの中でも問題としてわかりやすいと思ったの。

そんなことを考えているときに、ちょうど530week 1)530week は、「ゴミを出さない 0 waste なライフスタイル」を送るためのヒントや方法の発信を行なったり、また行動に移せるキャンペーンを作ったりしています。5/30(=ごみゼロ)に日を中心とした1週間を 530week として、共同で活動している団体や企業の活動報告やホットトピックに対してアクションしています。https://www.facebook.com/530week/?ref=br_rs のイベントがあって、それに参加していく中で自分の中でプラスチックに対する意識がエスカレートした。このときにはまだ何も始めてなかったんだけど、アイディアだけはあったの。それで、もう6/1にはウェブサイトのドメインとかを取って始めちゃった!

りょうこ:じゃあ、本当に一気にはじめたんだね!

モナ:そう、今まではただ「何かしたいね」って話しているだけだったんだけど、もうやるしかないかって思ったの。小さなところからでも私がリードしていこうって。

 

実際に私が購入したストロー
サイズごとに専用のブラシが付いています

 

ストローを使うことがゴールじゃない、まずは環境問題に意識を持ってもらいたい

 

りょうこ:いざ、プラスチック問題に何かアプローチをしようとしたときに、なぜストローを選んだの?

モナ:ストローって障害などを抱えた人以外にとっては「おしゃれだから」「口紅がつかないように」といった理由で、必ずしも必要不可欠なものじゃないなと思って、なくしやすいと思ったの。マイバックとかももちろんいいんだけど、すでにアイディアとしては沢山世にあるから、私じゃなくてもいいかなって。少し違うモノで、且つ減らしやすいところから始めたいと思った。

りょうこ:再利用可能なストローの中でも、他にも紙とか竹とかの選択肢もあったと思うんだけど、ステンレスにした理由ってあるの?

モナ:うん。竹も考えていたんだけど、竹をお店で使うのはちょっと抵抗ある人もいるかなと思ったの。もちろん本当は全然汚くないんだけどね。個人で使う分には全然いいと思うし、私も持ってるけど、お店とかで幅広く使うには竹は向かないかなと思った。もちろん、使い終わったらコンポストにできるし、すごい良いと思うんだけどね。ただ、まだそんなに再利用可能なストローについての考えも普及していないのに、すぐに竹のストローを再利用するのは「え、これ再利用なの?」っていう声があるかなって。紙は、私個人の意見では、テイクアウトする時にステンレスを使うのは難しいから、そういうときは紙でもいいと思うけど、飲みものをあまり美味しく飲めないかなと。

りょうこ:なるほどね。

モナ:でも、もちろんプラスチックよりはいいと思う!あと、紙だと手に入りやすいから私がやらなくても良いかなと思って。

りょうこ:ステンレスのストローって、今結構ヨーロッパやアメリカだと普通に手に入るけれど、日本で買おうと思ったら購入できるお店も全然ないし、買うとしたらオンラインになっちゃうよね。

モナ:そう、でもそれも実は結構悩ましいところで、大手のショッピングサイトでも買えるし、必ずしも私から買わなくてもいいんだよね。値段の面を考えても、私個人でやってるものはアマゾンの値段に勝てるわけがないし、ただ値段を下げると私も継続的にできなくなっちゃうから意味がないなと思ってる。でも、私から買うことによって、私の梱包にはプラスチックは使われていないし、頼んでる工場の人にもプラスチックを使わないでって言ってあるからプラスチックを100%使わずに済む。あとは、ストローという物質的なものだけでなく、今後もinstagramやメールで繋がっていくことができる。

りょうこ:ステンレスのストローを買おうっていう人は、少なからずプラスチックの問題に関心があって、減らしたいって思ってるから、梱包にプラスチックが使われていないのはメリットだよね。それに、やっぱり個人でやることのメリットはお客さんとの継続的な関係を築けることだと思う。きっとこれはストローに限らず、他の業種も。

モナ:そうそう。時間はかかるけど、一人一人と繋がって、ストローを買うことをゴールにするんじゃなく、プラスチック問題を含めた環境問題に意識的になってもらいたい。だから、「結局のーぷらって何してんの?」って言われたときに、基本的に商品を売ることもするけど、主に啓発活動って説明するようにしてる。

8/31に行われたローンチパーティーでも
使わせてもらいました

前編はここまでです。

インタビューをしていく中で、のーぷらの活動はストローというモノをただ売っているというよりも、ストローを通した人との繋がりや、そこで繋がった人への啓発、アイディアなどを提供しているように感じました。

後編ではのーぷらのコンセプトや名前に込めた思い、今後の展望、そして私が実際に使ってみた体験記をお届けします。

お楽しみに!

 

のーぷら No Plastic Japan https://noplasticjapan.com/

Instagram https://www.instagram.com/noplasticjapan/?hl=en

投稿者プロフィール

Ryoko
Ryoko
1997年生まれ。津田塾大学在学中。食品産業の裏側を知り、ヴィーガンになる。関心トピックは「食」「環境」など。より多くの人が「生きやすい」と思える社会を目指していきたい。趣味はヴィーガンカフェと古本屋を巡ること。

References   [ + ]

1. 530week は、「ゴミを出さない 0 waste なライフスタイル」を送るためのヒントや方法の発信を行なったり、また行動に移せるキャンペーンを作ったりしています。5/30(=ごみゼロ)に日を中心とした1週間を 530week として、共同で活動している団体や企業の活動報告やホットトピックに対してアクションしています。https://www.facebook.com/530week/?ref=br_rs

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