「藍さん」が教えてくれる、藍染の世界

日本の伝統技術の一つである藍染。TSU.NA.GU.でも、昨年徳島の海部藍とのオリジナルアイテムを販売し、多くの方に興味を持っていただきました!

(Campfire:https://camp-fire.jp/projects/view/94989

 

 

今回は、第一弾藍染コラボレーションでお世話になった、(株) トータスの専務・亀田 悦子さんが登壇されたイベントに参加し、創業122年の長い歴史の中で、どのように藍の世界を広げられたのか、伺いました。

 

 

亀田さん:もともと、トータスはメリヤスの肌着を代々作ってきました。下着は外見から見えるものではないので、正直なんでも良い、と思われがちです。ですが、当時私が嫁いだ先のトータスで「肌着は第二の皮膚である」という家訓を知り、衝撃が走りました。肌着の大切さを実感する一つのきっかけとなりました。

 

その後、藍染を始めるきっかけとなったのは、EMという微生物との出会いです。もともとEMは食料の衛生保持の効果があることからタッパーなどに活用されていたのですが、「これを繊維にできないかな?」と思い立ちました。EMが野菜をフレッシュにできるのなら、「人間」はどうなのかな?って思いましてね(笑)

EM繊維は、驚くことに、保温効果など素晴らしい結果が出ています。EMによって、繊維が生きている状態になっていたのです。そこで、EM繊維の特許を持たれている (株)ホワイトマックスのご協力のもと、早速この繊維を使った腹巻きなどの製品を作りました。実際に店頭販売をしたところ、お客さまからの反応もよく、アトピーなど肌の悩みに関する相談をされる機会が多くなりました。こういった悩みになんとか応えたいと思っていたところ、ご縁があって「藍」に出会ったのです。

 

 
生活の中の「藍染」

亀田さん:藍染って、手の届かない「工芸品」だと思っていたのですが、薬草としての効能があることを知りました。実際に、ベトナムの少数民族は一家に一つ釜を持ち、「薬」として藍を作っているそうです。まさに、日本の感覚ですと漬物を染めるように、衣服を藍で染めていたのです。この話を聞いて、「芸術」としての藍ではなく、「生活」の中の藍のイメージを強く持ちました。

そして、従来の伝統藍染染料の「ジャパンブルー」の美しさ、世界に誇る「伝統技術」としてだけでなく、「薬草」としての藍の成分を大切にしていきたい、と心に決めました。

 

素人で始めたものですから、最初は何度も藍を建てるのを失敗しました。藍は、3月に種をまき、その後葉だけを選別し乾燥させ、「すくもづくり」という発酵作業の後、カビを生えさせることで、藍を建てる過程に入れます。約1年をかけて藍と向き合っていくのです。

藍って、「作る」ではなくて「建てる」と言います。これは、一軒の家を「建てる」ように、一つの世界を建てる、ということ。生き物である「藍さん」と向き合い、付き合う過程は、まさに世界を作っていくことのよう。こうして、少しずつ藍さん達と向き合いながら、育てていきました。

 

 

藍さんと付き合う中で、もっと藍染自体を日常的にできないか?と思い始め、家庭でできる藍染キットを開発することとなりました。赤ちゃんが居るところでもできるよう、安全なブドウ糖を代用して作ってみたり…と試行錯誤をしながら、約12年。ようやく完成することができました。

 

実際に、藍染キットで藍を建ててみました!

 

藍も、人間と同じでその土地の環境になじませる必要があります。しっかり馴染むことで、自分の世界を確立させていくのです。この藍染キットも、建ててから1週間ちゃんと待てばその後染めても色はちゃんと定着しますが、待たずに慌てて染めるとすぐに色が落ちてしまう。つい結果を急ぎがちだけど、「待つことも大事だよ」という藍さんからの言葉ですね。私たちが日々暮らす中で忘れてしまうような大切なことを、藍さんは教えてくれているのです。

 

そして、藍染の「薬草」としての効能を伝え続けるとともに、次々に無駄な消費につながる「流行」や「価格」を追いかけるような消費ではなく、大切に「リメイク」をして着るという感覚を思い出していただきたい、と思っています。

 

海部藍の活躍の場として、他にも中学生と老人ホームとの地域交流を通した染色体験や、医療の世界では「藍染セラピー」の展開もスタートしています。加えて、環境活動として「リユース」や「リメイク」などへの海部藍の活用が重要視され始めています。エコな染料として、さまざまなシ-ンでの活用や食品界への進出など、「コミュニティ」として人々とのつながりも生まれています。今後も、藍には、様々なポテンシャルがあるので、多くの機会に活かしていきたいと思います。




【株式会社 トータス】

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投稿者プロフィール

MARI KOZAWA
MARI KOZAWA
一般社団法人TSUNAGU理事。ウェブメディア「FLAT. 」ディレクター。2018年エシカルファッションブランドTSUNAGUにジョイン。ビジネスモデル設計や生産者と消費者のコミュニケーションづくりを通して、ファッションの透明性を発信。その他、企業や団体とともにプロジェクトを企画・運営。